本尊「倶利伽羅大竜不動明王」

倶利伽羅大竜不動明王

写真: 倶利伽羅大竜不動明王本尊は役行者の自作による倶利伽羅大竜不動明王(秘仏)で、古来より運気の守護、命乞い不動尊として四方の人々の篤い信仰を集めています。

その御姿は、利剣に龍が巻き附いた形像です。倶利伽羅不動を本尊とする寺院は日本国内で類例がありません。倶利伽羅大竜不動明王は、悉地明王(悉地とは成就の意味)ともいわれ、古来より願望成就の守護神であり、生命乞の不動明王として霊験あらたかでです。

倶利伽羅大竜不動明王は、倶利伽羅不動経に「大聖不動明王九十五種の極悪魔障を降伏せんが為めの御変身なり」と説かれています。大竜不動明王周辺の 火焔は、一切の人々の厄災を焼き尽くし、また大竜王頭上に如意宝珠の福宝を吐いては、帰依の信徒の金運向上、福、祿、寿、の三宝を守らせ給うておられま す。倶利伽羅大竜不動明王の御真言は「のうまく しっち しっち そう しっち しっち きゃららやくえんさん まま しっち あじやま しっち そわか」とお唱えしますが、六返「しっち(悉地。成就の意味)」をお唱えするのは、眼、耳、鼻、舌、身、意、の六根、すなわち身体と心の一切の悩みと願い を成就せしめ給うという意味で、成就の意味の真言を六返お唱えするのです。

倶利伽羅大竜不動明王の出現

当山の開山、役行者(役優婆塞)が葛城修行の根本道場として犬鳴山を開山しましたが、この山に相応の本尊の出現を願って奥の滝に入滝修行し、一心に祈念しました。

そして最初に出現されたのが慈顔妙艶の弁財天女でした。弁財天女は福智円満無礙弁才の利生あらたかな天部の神ですが、なにぶんにも女性であるため、役行者は当時の世相救済の悪魔降伏の本尊としてはふさわしくないと考え、これを辞退されました。

二番目に出現されたのは、相好円満の地蔵菩薩でした。地蔵菩薩は六道救済の威神力を持っておられますが、なにぶんにも悪魔降伏の相にはふさわしくないと考えた役行者は、これも辞退されました。

三番目に出現されたのは、滝の厳上に八大童子を引具して立たれた大聖不動明王でした。役行者はこの不動尊こそ犬鳴山相応のご本尊と伏し拝み、仏天に 感謝の祈りをささげました。するとその時、空がにわかにかき曇り、天地破裂するばかりの大音響と共に大聖不動明王の姿はかき消え、剣に黒竜をまとった倶利 伽羅大竜王が現れたのでした。役行者はかしこみ謹んでその尊容を刻み、犬鳴の巌屋深くに納め、天下泰平、五穀成就、諸人快楽の大護摩を修しました。斉明天 皇の7年(西暦661年)正月13日のことです。

倶利伽羅不動明王

写真: 倶利伽羅不動明王弘法大師空海もまた、役行者の行跡を求めてこの山に登り、倶利伽羅不動明王の本地大聖不動明王を御敬刻開眼し、本尊の宮殿に安置、秘密護摩の御修行を行いました。この弘法不動は災難除け、身代不動明王として崇信せられており、犬鳴山の秘仏不動明王となっています。不 動明王経には「不動明王を信仰する者は、その信仰心信念の度合いに応じて求むるところのものを必ず叶えせしむ」と述べられ、特にあらゆる災厄を除き、繁栄 成就、難病平癒、方災消除、家宅安穏、知恵聡明、勝負必勝、和合敬愛、安産成就、一切所求円満などの、現世のあらゆる願望成就をせしめ給うと説かれていま す。